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創業安政元年

 津田電線株式会社は、江戸末期、安政元年の創業で、再来年創業160周年を迎える。安政元年は、ペリーが黒船に乗って浦賀にやって来た翌年である。江戸末期といえば、当然電線はなく、当時は神社仏閣用の銅細工や、瓦を止める銅線を作っていた。明治14年工部省(後の電電公社)に通信用銅線を納入したのが、当社の電線事業のスタートである。

衆知を集める

 取材などで、長寿の秘訣は何ですか?とよく問われるが、当社は決して今日まで順風満帆ではなかった。経営というものは誠に難しい。色々な問題が起こってきて、それを的確に対処していかなければならない。その都度自然の摂理に従って、衆知を集めて当たり前のことを、当たり前にやって行くしかない。 衆知を集めるには、自責の考えを組織内に徹底させることが大事であると思う。何か困難に遭遇したとき、人はその原因を自分の責任ではなく、他のことに求めたがる。組織内の一人ひとりが他責ではなく自責で考えるとき、組織は強くなる。自然にやる気を起こす環境を作れば、企業は活性化することは十分承知しているが、これがなかなか難しい。

わが人生

 翻ってわが人生、子供のころは暴れん坊の鼻つまみ者で、怪我はしたものの病気とは無縁であり、マジックに明け暮れた学生時代から赤色がラッキーカラーであったが、還暦のときに入院した。その後健康管理に気を付けているが、メタボも気になりだした。メタボは痛みが伴わないから余計に怖い。「ご馳走、酒、タバコこんなにおいしいものを止めると体に良くないよ」と言ってきたが、ぼちぼち潮時か。

「気付く」「築く」

 「幸せは築かなければ逃げていく」というが、「築く」という意味もさることながら、「気付く」という方により深い意味があるように最近思うようになった。 人生というものも、もし思うようになればこれほど味気ないものは無いであろうとも思う。現世は泣き笑いの人生であり、酸いも甘いも味わえる人生、行く先々には希望に満ちた人生があると思うことが何より肝要であろう。ありのままの姿こそが自然にかない、一番その人間を強く長く生かすようである。自然は停頓するものではなく常に生成発展しているものであるから、虚勢は禁物で、自然には絶対に逆らってはならない。合一の精神、順応の気持ちが備われば人は安寧長命でいられると思う。  以前、100歳になる長高齢者が書いた詩集が以前話題になっていて、様々な人たちに長く生きる勇気を与えている。その中の詩「私ね 人からやさしさを貰ったら 心に貯金しておくの さびしくなった時は それを引き出して 元気になる あなたも今から 積んでおきなさい 年金より いいわよ」。

「温故知新」モットーに

 当社の社是(家訓)は「社会のために 良い製品を より安く より早く」である。 社会的使命を果たしQCDに取り組むという社是を掲げたことに、先達の思いを、重く受け止め、江戸、明治、大正、昭和、平成と「温故知新」モットーに受け継いでいる。 これからも温故知新をモットーに、社会から常に必要とされ、新たな変革に挑戦していく会社を目指して参りたい。

更新日:2012年9月4日

経歴

津田 幸平(つだ こうへい)

略歴

昭和23年生
昭和47年3月 早稲田大学 商学部 卒業
昭和47年4月 松下電工(現パナソニック)入社
昭和58年5月 津田電線 入社
昭和60年6月 同社 取締役
昭和62年6月 同社 常務取締役
昭和63年6月 専務取締役
平成元年6月 取締役社長
現在に至る
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