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誠実、そして素直な心

 私の信条といえば、まず第一番に思い浮かぶのは、誠実という言葉です。誠実さは、社会、会社、組織、家族の中で生きていく人間にとって大変大切なことだと思います。
また松下幸之助の言葉に、素直な心、というのがあります。物を見る時、人と話をする時の心構えとでも云うのでしょうか、物事を判断するときにも役立つ言葉です。今の私は、いろいろな問題に直面した時、雑物を取り払って単純化して、平易に考え判断するように心掛けています。素直な心に通ずる所があるかもしれません。

「製造業としての考え方」の原点

 当社は、古くから部門別計算という部門別の業績評価を行い利益、生産性のアップにつなげる一つの管理方法を採用していました。営業部門も製造部門も利益、付加価値と経費が見合うのか月次決算を行っていました。ですから、私は入社当時から各部門の原価計算、経費の見方を実践の中で教えられることになりました。この考え方は、現在に十分反映されています。私の製造業としての考え方の原点は、この辺りにあるのかもしれません。

日本の産業構造激変の時代に

 私が責任者になった頃は、得意先の海外展開が加速し、日本の産業構造が激しく変わってきた時代です。
このような厳しい環境の中で行ったことは、社内の活性化、経費の明確化を大方針に掲げ分社化を進めたことです。この大幅な管理方法の変更は、リスクもあり管理者の問題もあり賛否両論ありましたが、まず営業を3社に分け、その結果、製造・販売の分離の形になりました。乱暴な言い方かもしれませんが、自分の給料は自分で稼げということでした。

何事にも基本があるということ

 このような経験を重ねていくうちに気のついたことは、何事にも基本があるのだということ。基本的な知識が、非常に大事だということです。世のしきたりから始まっていろいろとありますが、云ってみれば、物事の成り立ち、仕組み、やり方というものがあって、それが良くわからなければ先へ進めないということです。ですから、人の話、本、TV、海外の旅行等いろいろな場面での体験が重要だということを実感として味わいました。

最も困難な「見極め」、「発見」

 問題を解決するためには必要な知識も取捨選択する必要がありますが、その次は、いかにそれを応用するかだと思います。思いついたことが良い解決策であれば、次への展開を図れることになります。これをアイデアというのか、インスピレーションというのかもしれません。しかし、この考えを搾り出すという事が非常にきつい作業になります。時間も掛かりますが、諦めない努力が必要です。非常に単純なところから考え直す。目的は何なのか、何をしたいのか、今何をしなくてはいけないのか、これの見極め、発見が重要なことだと考えています。でも、これが一番難しい。

反省と感謝と…

 最後に、前を向いて進むのは、もちろん賛成ですが、分析、検証、復習を忘れてはいけないと思います。これも長年の習性かもしれませんが、山あり谷ありの数十年の自分のあり方含めて常に反省をすることを心掛けています。「ローマは、一日にしてならず」です。しかし、又「全ての道はローマに通ず」です。現在の自分も会社も先達のおかげだということを忘れてはいけません。今は、感謝の気持ちでいっぱいです。
結びとして、体力、気力、記憶力、これが減退しないように頑張っていきたいと思っています。努力の継続は、力なり。

更新日:2010年3月17日

経歴

中村 新(なかむら しん)

略歴

昭和20年生
昭和43年9月 川崎電線株式会社 入社
昭和63年5月 取締役に就任
平成5年6月 代表取締役社長に就任
平成11年6月 代表取締役会長に就任 現在に至る
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